触媒化学の技術は有用物質を経済的かつ環境保全、省資源、省エネルギー的に生産する唯一の論理的方法です。実際、触媒の世界市場は現在1.2兆円程度であり、それによる化学製品の生産は120~600兆円と推定されています。
本研究分野では、新しい分子触媒の開拓を通じて精密化学合成に新たな潮流と高水準な学術的基盤を築くことを目指しています。恒久的に重要な新概念触媒を開発するとともに、化学産業にかかわる数々の具体的問題についても真に有効な手法を提供し、大きな波及効果を与えています。
また、生命科学や材料科学の進展と理解に寄与する機能性物質(生理活性物質、光電子機能性材料)の設計、合成、評価も行っており、基礎から応用までを見据えた総合的な物質合成研究を推進しています。今後も、新しい触媒化学に立脚した分子構築を通じて、新たな機能の創造につとめるとともに、関連科学領域との積極的な接触を通じて科学技術全体に波及効果を与えたいと考えています。